八幡「目を覚ましたら、猫になっていた」






1 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:15:39.31 X2nwwohA0 1/37
八幡「顔だけが……」

八幡「なんだよ、これ。リアルな猫の顔に死んだ魚のような目が合わさるとこんなにきもいのか?」

小町「お兄ちゃん、まだ顔洗ってるの? 小町は隣で歯磨きするから――キモッ!」

八幡「おはようの代わりに気持ち悪がられて、お兄ちゃん傷ついたぞ」

小町「えっ? お兄ちゃん、なんでそんなに気持ち悪い事してるの? カーくんになりたいの?」

八幡「常日頃からカマクラを羨んでいたのは確かだな。出来る事なら今すぐ変わって欲しい」

小町「だからって、猫のマスク被らなくても……。やけにリアルだし、目が死んでるし」

2 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:17:06.23 X2nwwohA0 2/37
八幡「俺にだって意味わかんねぇよ。起きて顔洗おうとしたら、こうなってた」

小町「こうなってた? ……ねぇねぇ、ちょっと触って良い?」

八幡「なにに?」

小町「さっきからぴくぴく動いてる耳に」

八幡「嫌だけど?」

小町「まぁ、最初から許可を貰おうとなんて思ってなかったけどね。よっと」

八幡「……耳が横じゃなくて上の方についてんの、マジで気持ち悪い。違和感しか覚えない。それとくすぐったい」

小町「あっ、本当にこれって本物なんだね。カーくんの耳の感触と一緒だよ」

3 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:18:17.40 X2nwwohA0 3/37
八幡「どうしよう……」

小町「このまま学校に行ったら面白い事になりそうだけど、今日は休んで様子を見てみれば?」

八幡「そうすっか。えっと、平塚先生にメール送っておけばいいよな」

小町「電話で直接話したら?」

八幡「そんな事したら声を聞かなきゃならないだろうが。人の顔を見て話すのも嫌なのに、表情を窺う事も出来ない相手と会話なんてやってられるか」

小町「うわぁ……お兄ちゃんがどんどん退化しているのを実感したよ……」

4 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:19:17.62 X2nwwohA0 4/37
八幡「メールの内容はこんなもんで良いな。送信、っと」

小町「なんて送ったの?」

八幡「顔が猫になったから休みます、って」

小町「お兄ちゃん、そんな馬鹿正直に書いて送ったら……」

八幡「ん? もう返信が来た。えっと……」

平塚『朝からくだらない嘘を吐いてないで来い。サボったら各方面を説得して留年させる』

八幡「……」

小町(そりゃそうだよね。目の前で見てる小町ですら半信半疑なのに)

5 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:20:57.63 X2nwwohA0 5/37
八幡(あの後、写メを送ったり、断腸の思いで電話をしても、来いの一点張りだった)

八幡(小町に協力を仰ごうとしたら……)

小町『用があって早めに登校しないといけないから、小町はもう行くね』

八幡(って、満面の笑みを浮かべながら家を出て行ったし。で、俺は今、留年回避のため、恥を忍んで登校中)

八幡(……当然、顔が猫のまま。周りからヒソヒソと聞こえる声は、俺に対してだろうなぁ。死にたい……)

八幡(それは学校に着いてからも、教室に入ってからも変わらない。と言うか、余計に注目を浴びてるし)

「誰だ? あいつ?」

「あんな気味の悪いマスク被って来るようなやつ、ウチのクラスにいたか?」

八幡(……正直、自分の席に座りたくない。かと言って、別の人の席に堂々と座る度胸もあるわけがないよなぁ……)

八幡(なるようになる。今までがそうだったように、今回だってそうなんだ。うん、きっとそう。自信? ハハっ、あるわけないだろうが)

6 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:22:13.36 X2nwwohA0 6/37
「あの席に座ったぞ」

「あそこって誰?」

「あいつだろ? 文化祭でやらかした、えっと……ヒキタニ」

八幡(比企谷だ! と常人なら怒鳴りつつ否定するだろうが、俺はそんな事をしない。だって、キリがないし……)

戸塚「あ、あの……そこ、八幡の席なんですけど、教室間違えていませんか?」

八幡(天使だ。天使がここにいる。俺のために見知らぬ気持ち悪い猫顔野郎に話しかけるなんて。でも、座ってるのはその八幡なんだけど)




7 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:23:26.36 X2nwwohA0 7/37
八幡「俺だよ、戸塚」

戸塚「え? は、八幡なの? なんでそんなマスク被ってるの?」

八幡「マスクじゃねぇんだよ。本物なんだよ。耳が動かし放題なんだよ」

戸塚「あっ、ぴくぴく動いてるね。なんか可愛い」

八幡(戸塚には及ばないからな。ここ重要)

戸塚「本当に良く出来てるなぁ。声に合わせて口も動いてるし。でも、先生が来る前に脱いでおかないと怒られちゃうよ? ほら、僕も手伝うから」

八幡「脱げるもんなら脱いでるって。首の所見てくれよ」

戸塚「……僕の気のせいかな? 首の途中から猫の毛が生えているように見えるのは」

八幡「俺も気のせいだと信じたかった……」

八幡(無理だったけどな。口を大きく開けても、見えるのは俺の素顔じゃなくて舌と歯と喉ち○こだけだったし)

8 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:25:11.40 X2nwwohA0 8/37
平塚「朝のHRを始める。みんな席につ……比企谷、なんだそれは?」

八幡「説明不可の超常現象です。萬國驚天掌をくらいながら大猿化しようとして、途中で止まって失敗したのが今の俺です」

平塚「猿じゃなくて猫だろうに……まぁいい。さっさと脱げ。気になって話も出来ん」

八幡「何度目かの説明か覚えてませんけど、脱げたらこんな顔をしてませんよ。ってか、俺も早く元の顔に戻りたい」

平塚「いつまでふざけている気だ? 穏やかな心を持つ私も激しい怒りのあまり、髪が金色になるかもしれんぞ」

八幡「だからふざけてませんって。何なら触ってみてくださいよ。口の中を覗いてもいいですよ。ほら、中に顔がないでしょ?」

平塚「仕方のないやつだ。どれどれ……喉ち○こが見えるな」

八幡(恥じらいもなくち○こと口に出来る平塚先生は、女性としてどうなんだろうか)

平塚「なにやら失礼な言葉を目の前から感じたんだが?」

八幡「聞こえたんじゃなくて、感じた辺り、先生はすでにニュータイプですね」

9 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:26:33.51 X2nwwohA0 9/37
平塚「にしても本当に良く出来てるな。こんな玩具、どこで売ってたんだ? 飲み会の時に一発芸で披露したいくらいだ」

八幡「本物ですって」

平塚「……マジで?」

八幡「マジです」

平塚「こんな状況に陥っていながら、よく学校に来れたな」

八幡「あんたが来なきゃ留年って脅したからだろうに。証拠のメール、ちゃんと保護してますよ。電話の会話も録音してますから」

平塚「よ、よし! 今朝のHRは中止だ! 皆、一限目まで大人しくするんだぞ。私は比企谷と少し用事が出来た。ほら行くぞ」

八幡(露骨に話しを変えやがったよ、この人)

10 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:29:11.25 X2nwwohA0 10/37
結衣(本当にヒッキーだったんだ……猫の目が死んでたし、そうかなぁ、とは思ってたけど)

戸塚(八幡が猫になっちゃった……キャットフード、買ってあげたら喜ぶかなぁ?)

葉山(今度は何をするつもりなんだ? 彼は……)

三浦(あれ? 考え込んでる今の隼人、なんかいつも以上にカッコよくない?)

海老名(隼人君が熱い視線を……ぶはぁ!)

11 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:30:15.27 X2nwwohA0 11/37
八幡「……で、なんでここなんすか?」

八幡(正確には、いつも奉仕部として俺らが集まってる教室)

平塚「今の君を職員室に招くわけにはいかんだろ。ここなら落ち着いて話が出来るからな」

八幡「そーですか」

平塚「なぜそうなった? 病院に連れて行く事さえ躊躇いが生じるほどなんだが」

八幡「誰よりも原因と解決案を知りたいのは俺なんですけど」

平塚「いつそうなった?」

八幡「正確な時間はわかりません。起きて顔を洗おうとしたら気付きました」

平塚「身内の反応は?」

八幡「小町にキモがられました」

平塚「そりゃそうだろ」

八幡(肯定すんなよ。俺はガラスの十代なんだぞ? 飾れる輝きは一つもないけどな)

13 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:32:03.85 X2nwwohA0 12/37
平塚「しかし、八方塞がりか……君は色々と敵を作るからな。誰かに呪いでもかけられたか?」

八幡「俺なんかを相手にする暇人なんていませんよ。ましてや呪いなんてあるわけありません。あったら俺が使ってます。お空を自由に飛んでみたい」

平塚「それは呪いではなくて青ダヌキのひみつ道具だが……なら、現状をどう受け止める?」

八幡(……なに一つ思い浮かばない。と言うか、思い浮かべたくない)

平塚「落ち込むな……と言っても、流石の君でも無理だろうな」

八幡「どうせなら、ちゃんと猫にして欲しかった。そしたら小町が可愛がってくれたかもしれねぇのに」

平塚「そんな方向でへこむな、シスコン。だが、実際どうしたものか。お祓いでもして貰うか?」

八幡「現代の神職にキツネ憑きならぬ猫憑きを祓う力があるとは思えませんが?」

平塚「なにもしないよりマシだろう。ここで待ってろ。職員室にあるPCで近所の神社を調べて来る。ついでに適当な情報もいくつか集めておこう」

八幡「俺もスマホでなにかしら調べておきますよ。それより、授業は良いんですか?」

平塚「幸い、今日は三限目まで時間があってな。その点は気にしなくていい」

八幡「じゃあ、お願いします」

平塚「任された」

15 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:34:14.62 X2nwwohA0 13/37
八幡「平塚先生も行ったし、俺もなにか調べるか。っつっても、なに調べりゃいいんだ? とりあえず、『猫の顔になる呪い』っと」

八幡「……しょうもない事しか検索に引っ掛からねぇ。ん? 猫の俗言?」

八幡「そういえば、猫の病気は梅干しの水を飲ませるといいとか、聞いた事があるな」

八幡「早退するか、お祓いに連れて行かれる途中で梅干し味の飲み物でも買ってみるか」

八幡「……はいはい、わかってますよ。猫がかかった病気であって、猫になる病気への対処法じゃない事くらい」

雪乃「なにをぶつぶつ……っ!?」

八幡「ん? 何だ雪ノ下か。なに固まって……って、そういや、俺って今猫顔か。短時間で耳の位置やら口の形やらに馴染んじゃって、一瞬忘れかけてた」

八幡(人間の環境適応能力ってすげー。科学の力ってすげー。あっ、これは科学の力じゃねぇや)

16 : やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。SS – 2014/03/08 21:35:19.63 X2nwwohA0 14/37
雪乃「……」

八幡「あー……これにはな、深いようで浅くない、田中さんがノーベル賞を取った時のマスコミの戸惑いぐらいわけのわかんねぇ事情があってな」

雪乃「……にゃー」

八幡「……」

雪乃「……」

八幡(え? 自分で言うのも悲しくなるけど、こんな顔だけ猫にもトキメキ感じちゃうの? お前の感性の方がわけわかんねぇ)



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